今年は2014年に政府の日本再興戦略にてコーポレートガバナンスの強化が打ち出されてから10年という節目の年となります。この間、日本企業のガバナンス改革は、外形的要件の整備・充実に始まり、企業の中長期的な成長を後押しするための実質的な改革へと、着実に歩みを進めてまいりました。また、産業の再飛躍に向けた官民連携による取組みも奏功しつつあり、長らく低迷を続けた日本経済は、今まさに歴史的な転換点にあると言えます。

このような環境の下、日本企業は非常にチャレンジングな時を迎えています。足元では、数十年ぶりの高水準となった設備投資や賃上げの動き等、前向きな動きが見られる一方、緊迫した国際情勢が続き、為替・物価・金利等も近年にない水準で推移するなど、日本企業を取り巻く環境は、依然先行き不透明な状況が続いています。

バブル崩壊以降、多くの経営者は自社の経営効率化の徹底に努め、経営の体質強化を志向してきましたが、昨今のような経営環境下においては、中長期的成長の実現に向け、リスクを過度に恐れることなく、自社のポートフォリオを大胆に組み替え、新たな事業領域や世界市場に大胆に打って出るような経営戦略の見直し等にも果敢に挑むことが重要です。そして、このような「攻め」の経営判断や投資の意思決定をリードするのは、多様性・透明性・実効性に優れた強靭なガバナンス体制・取締役会であることは、論を俟ちません。

「ガバナンス・サミット2024」では、これらの観点を踏まえながら、チャレンジングな時代に、日本企業が力強い成長を実現できるガバナンスの在り方について、議論を深めてまいります。