ガバナンス・サミット2021

2021年10月8日 経団連会館国際会議場にて「ガバナンス・サミット2021」を開催いたしました。
今後も、ガバナンス改革の目指すべき方向について発信を続けてまいります。

当日の模様はこちらからご覧いただけます

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講演・パネルディスカッションの概要

経営者セッション

実行委員長挨拶

榊原 定征氏

ガバナンス・サミット実行委員長

日本経済団体連合会 名誉会長

榊原 定征

ガバナンス・サミット2021実行委員会委員長、日本経済団体連合会名誉会長である榊原定征氏より、この1年間の間で企業を取り巻く環境、あるいは、企業経営者の意識にあった3つの大きく変化があったことが指摘されました。
1つ目が「経営者の意識の変化」、2つ目が「SDGsにおいての企業の役割への期待の高まり」、3つ目が「社会問題解決における企業の役割への高まり」について言及がされました。
それを踏まえた上で、企業は ESGの取り組みを自社の成長戦略と統合していくこと、そのためのガバナンス改革をしていくことの重要性について指摘されました。

基調講演

講演者 平井 裕秀氏

経済産業省 経済産業政策局長

平井 裕秀

経済産業省経済産業政策局長の平井裕秀氏より、今後日本企業が国際競争に勝ち抜くためには、デジタル化などの急激な事業環境の変化の中で、迅速に経営戦略を生み出し、経営判断をすることができるガバナンス体制を構築することが重要で、各企業にはより一層のガバナンス改革が求められていること、そして企業の持続的な成長のために、自社のサステナビリティと社会のサステナビリティを分離せずに考えることが不可欠であるということについて言及されました。

ESG Efforts that Create Real Value.
~真の価値を創造するESGの取り組み~

ビデオ・メッセージ ジョージ・セラフェイム氏

ハーバード・ビジネス・スクール
チャールズM.ウィリアムズ記念講座教授

ジョージ・セラフェイム

ハーバード・ビジネス・スクール、チャールズM.ウィリアムズ記念講座教授であるジョージ・セラフェイム氏より、企業にとって戦略的なESG経営が重要である理由や、戦略的なESGアプローチの方法、投資家とのコミュニケーションのとり方についての言及があり、今後、企業が勝ち残っていくためには、重要なESG課題を自社の経営戦略とオペレーションの中心に据えて、競合他社との差を明確化していくことが重要であると指摘されました。

企業理念を根幹に据えた花王グループのESG経営
―持続可能な社会の実現を目指して―

講演者 澤田 道隆氏

花王株式会社 取締役会長

一般社団法人
日本衛生材料工業連合会 会長

公益財団法人
日本容器包装リサイクル協会 代表理事理事長

澤田 道隆

花王株式会社取締役会長澤田道隆氏より、花王のESG経営について、花王がESG経営に舵をとった理由や、自社の企業理念とESG経営の連携について、自社が行なっているESG活動の例、そしてこのESG活動を継続するために重要な要素についてご説明いただきました。その中でも特に、ESGはコストではなく、投資であり、ESG経営とビジネスを繋げていくことの重要性が強調されました。

パネルディスカッション
「サステナビリティガバナンスの目指すべき方向性」

パネリスト ※50音順
  • 安藤 元太氏

    経済産業省 経済産業政策局 産業組織課長

    安藤 元太

  • 太田 純氏氏

    株式会社三井住友フィナンシャルグループ
    執行役社長

    太田 純

  • 岩田 圭一氏

    住友化学株式会社
    代表取締役社長

    岩田 圭一

  • 国谷 史朗氏

    弁護士法人大江橋法律事務所
    代表 弁護士

    国谷 史朗

  • 江川 雅子氏

    一橋大学大学院 経営管理研究科 特任教授

    東京海上ホールディングス株式会社 社外取締役

    三井物産株式会社 社外取締役

    江川 雅子

  • 酒井 功氏 司会

    株式会社プロネッド
    代表取締役社長

    酒井 功

パネリストとして、経済産業省経済産業政策局産業組織課長の安藤元太氏、住友化学株式会社代表取締役社長の岩田圭一氏、一橋大学大学院経営管理研究科特任教授・東京海上ホールディングス株式会社社外取締役・三井物産株式会社社外取締役の江川雅子氏、株式会社三井住友フィナンシャルグループ執行役社長の太田純氏、弁護士法人大江橋法律事務所代表弁護士の国谷史朗氏の5名の識者が参加し、主に「環境・社会問題において、自社が取り組むべき課題の選択の仕方」、「環境・社会問題に係る取り組みをどう自社の稼ぐ力に繋げるか」、および「サステナビリティを実現していくためのガバナンスの在り方」の3つのテーマに関して議論が交わされました。

「環境・社会問題において、自社が取り組むべき課題の選択の仕方」については、自社の経営戦略や、中期経営計画、企業理念等が、自社の方向性と整合性がとれていることが重要であるとの指摘が多くなされました。一方で、自社の強みだけに固執するのではなく、時には大胆な方向転換を行うことも重要であるとの指摘もなされました。

「環境・社会問題においての取り組みをどう稼ぐ力に繋げるか」については、環境・社会問題への取り組みは短期的に見れば企業にとってコストになるかもしれないが、長期的に見て、どこに競争優位性があるのか、自社の経営戦略と照らし合わせて考える必要があるという意見が多くありました。それと同時に、社会のなかで自社の事業がサステナビリティの観点からどのように貢献しているかという、外部への「見せ方」も重要であるという指摘がありました。

「サステナビリティを実現していくためのガバナンスの在り方」としては、日本におけるサステナビリティの考え方は、欧米諸国と乖離している部分もあり、グローバル基準でビジネスを展開するのであれば、多様性のあるチームを結成し、自社ビジネスを検討していくことが重要であるといった指摘が多く寄せられました。

実務者セッション

改訂コーポレートガバナンス・コードにおけるサステナビリティの規律

浜田 宰氏

金融庁 企画市場局 企業開示課
企業統治改革推進管理官

浜田 宰

金融庁企画市場局企業開示課企業統治改革推進管理官の浜田宰氏より、日本におけるコーポレートガバナンス改革の歩み、改訂コーポレートガバナンス・コードについての概観、そして諸外国におけるサステナビリティに関する開示の規律の動向についての紹介とともに、今日の日本でもサステナビリティへの取り組みを含めた非財務情報に対して関心が高まっていることが指摘されました。

東証における市場区分の再編について

青 克美氏

株式会社東京証券取引所
執行役員

青 克美

株式会社東京証券取引所執行役員の青克美氏より、東京証券取引所における市場区分の歴史、現行市場において指摘される課題とそれを踏まえた再編の狙い、市場区分見直しの具体的な内容を説明するとともに、新市場区分選択についての各企業への要請、そして、新市場区分の下での上場企業各社の企業価値向上についての期待が述べられました。

長期的経営とESGの取り組みに向けた投資家の期待

  • 江良 明嗣氏

    ブラックロック・ジャパン
    運用部門
    インベストメント・スチュワードシップ部長

    江良 明嗣

  • 奥野 一成氏

    農林中金バリューインベストメンツ株式会社
    常務取締役

    奥野 一成

  • 小幡 績氏 モデレーター

    慶應義塾大学 ビジネススクール
    准教授

    小幡 績

講演者として、ブラックロック・ジャパン運用部門インベストメント・スチュワードシップ部長の江良明嗣氏、農林中金バリューインベストメンツ株式会社常務取締役の奥野一成氏、モデレーターとして慶應義塾大学ビジネススクール准教授の小幡績氏が参加し、投資家の立場からみた企業の持続的経営に対する期待や、投資家に求められている役割についての話し合いが行われました。

ガバナンス・サミット2021実行委員会 委員 ガバナンス・サミット2021実行委員会 委員

委員長
榊原 定征氏

経歴

1965年 3月 名古屋大学工学部応用化学科卒
1967年 3月 名古屋大学大学院工学研究科修士課程
(応用化学専攻)修了
1967年 4月 東洋レーヨン株式会社(現東レ株式会社)入社
2002年 6月 代表取締役社長
2010年 6月 代表取締役会長
2014年 6月 日本経済団体連合会 会長
2018年 5月 日本経済団体連合会 名誉会長
2018年 7月 株式会社プロネッド 名誉会長
2020年 6月 関西電力株式会社 取締役会長
2020年 旭日大綬章
委員 ※50音順
安藤 元太 経済産業省産業組織課長
江良 明嗣 ブラックロック・ジャパン株式会社
運用部門インベストメント・スチュワードシップ部長
国谷 史朗 弁護士法人大江橋法律事務所
代表 弁護士
酒井 功 株式会社プロネッド
代表取締役社長
浜田 宰 金融庁企画市場局企業開示課
企業統治改革推進管理官
正木 義久 日本経済団体連合会
ソーシャル・コミュニケーション本部長